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[2024年9月16日]Is the United States Losing Ground in the Black Sea Region?

ジョージアの友人からリンクを送ってもらい、表題の論文を読みました。


 ジョージア人の研究者Natia Gamkrelidzeがハーバード大学ケネディー・スクールのサイトで発表した論文です。要旨としては、環黒海地域はロシア膨張に対するバリアーである。これにクレムリンはハイブリッド戦争、経済的脅し、軍事的圧力で対抗している。

 2022年12月17日にハンガリー、ルーマニア、ジョージア、アゼルバイジャンの間で結ばれた黒海海底ケーブル協定による主にアゼルバイジャン風力発電電力のヨーロッパへの輸出、南ガス回廊などについて触れ、アメリカがヨーロッパの安全保障に関与を続けるのであれば、この地域への経済的戦略的存在感の維持が不可欠とします。

 また、ウクライナとロシアによるケルチ海峡等を経由する小麦輸出が全世界の小麦輸出の25パーセント以上を占めることも指摘します。世界の穀倉で行われている戦争はこの秋どのような局面を迎えるでしょうか。

 ちなみにアゼルバイジャンの首都バクーは、ペルシア語بادکوبに由来するという説が有力で、文字通り風の打ちつける街、カスピ海に面して強風で知られた街です。石油・天然ガスだけではなく、風力でも有力とはエネルギー資源に恵まれた国ですね。

 筆者はスウェーデンのリンネ大学で教鞭を執っているようです。新たな世代の研究者といえるでしょう。


写真は監訳した『黒海の歴史―ユーラシア地政学の要諦における文明世界』(明石書店、2017年)。




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